『どうにか・したい』
 27の誕生日を迎えた劇団員の津村。昨晩、年上の彼女とケンカして、今日は劇団の座長と二人で居酒屋で誕生会である。彼女とのケンカは、津村の将来を巡る口論だった。津村の今年の目標、役者として火曜サスペンス劇場で死体の役をやる! 死体がしたい?本当に死体がしたのか? 今年の目標、死体? いいのか、それで?

 「演劇にまつわる演劇」シリーズです。我々がやっている演劇は「小劇場の芝居」にカテゴライズされます。ではその小劇場の役者達はなにを思って小劇場で芝居を続けているのか? の話をやりたかったんです。そうなるとまず一番最初にやらなければならないのは、なにをめざしているのか? どうなりたいのか? なにをして幸せと呼ぶのか? ということです。簡単にいうと、どんな夢があるの? ということです。普通はまあ「売れたい」わけです。でもその売れるための決まったルートは存在しません。とにかく動員を、とある人は言います。動員のためにはチラシをまかなきゃという発想になります。そして、せっせと折り込まれたチラシの束は、そのほとんどが捨てられます。DMを出さなきゃと、せっせと稽古場の隅でDMを書くことになります。やがて、茶封筒にチラシの入った物が郵便受けに届きます。私は茶封筒入りのDMは中身を見ないことにしています。貧乏くさいお知らせを送り付けるのはエンターテイメントを志す人のやることではないと思うのです。決まったルートは存在しないのに、そうやって暗黙のルートをたどりさえ
すれば、みんななんとかなると思っているのです。その見えない鎖を断ち切るために・・